ぴょろりずむ ~本から学ぶ~

読んだ本、読みたい本、読むべき本を紹介していきます。

「大変化 経済学が教える2020年の日本と世界」(竹中平蔵著)

変化が激しい時代には、「地図」よりも「コンパス」が重要となる!本書では著者なりの未来予想図が示されており、読者に対して、それを基に自ら考え、自分なりの哲学や座標軸を持ってほしい、と伝えています。

「楽観は意思で悲観は気分である。」(アランの「幸福論」より)

 著者は、東京五輪は日本にとって重要なターニングポイントであり、最大かつ最後のチャンスであるとしています。また、このことを、以下に挙げる「改革2020」という6つのプロジェクトに沿って丁寧に分かりやすく説明しています。

 

①「次世代都市交通システム・自動走行技術の活用」

②「分散型エネルギー資源の活用によるエネルギー・環境課題の解決」

③「先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現」

④「高品質な日本式医療サービス・技術の国際展開」

⑤「観光立国のショーケース化」

⑥「対日直接投資拡大に向けた誘致方策」

 

例えば、①であれば「リニア新幹線により実現する『超大都市圏』」がもたらす計り知れないメリットについて、②であれば「再生可能エネルギーを蓄電池ではなく、水素に変換して輸送する『水素プロジェクト』」の可能性等、興味深い事例が挙げられています。これらのキーワードを意識しておくだけでも、新聞を読んだり、テレビのニュースを見た時の情報の受け止め方が変わってくるのではないでしょうか。

また、近未来への布石として「国家戦略特区が生み出す様々な可能性(医療ツーリズム、ドローンの活用等)を紹介し、そのネックとなっているのが既得権益であるため、本格的に規制改革を推進していく必要があることを主張しています。

「バルコニーに駆け上がれ。」(ハーバード大学ハイフェッツ教授) 

あとがきの中でも、「我々が見定めるべきは 大きな流れであり、それが見えれば、小さな変化に一喜一憂せず、泰然自若としていられる。だから、もう一段だけ高所に上り、大局を見渡し、遠くを見通すことが重要となる。」と説いています。

全般的に「知識」を付与するものではなく、激動の時代において、柔軟な適応力を身につけるための「心構え(姿勢)」を示したものになっているため、本書は、多くの方々にとって、物事を俯瞰して、自ら考えるきっかけになるのではないかと思います。

 

第1章 2020年東京五輪は、日本にとって最大かつ最後のチャンス

第2章 いよいよ「イノベーションと英語の時代」が日本にも到来する

第3章 「正社員」より「自由な働き方」を目指す時代

第4章 2020年、日本経済の再生なるか

第5章 財政健全化への道、問題は改革実行力

第6章 世界経済、変化する者だけが生き残る