アメトーク!読書芸人の間でも人気の一冊!! 「不道徳教育講座」(三島由紀夫著)
あの三島由紀夫のエッセイ集である。「大いにウソをつくべし」とか、「人に迷惑をかけて死ぬべし」とか「人の不幸を喜ぶべし」とか・・・まさに題名通りの内容で読者を煽りながら終始惹きつけてくれる。
例えば、「教師を内心バカにすべし」という項目では、学校の先生を内心バカにしないような生徒にろくな生徒はいない。・・・等と一見不道徳を勧めるかのようではあるが、実は社会における真実や世の中を渡っていく上での知恵を授けてくれる。
先生たちは教育しようとする、また理解しようとする。そういう職業なのだから。しかし、学生(若者)の側が、理解されようと願ったり、理解されないからと拗ねたり、反抗したりするようでは、弱さからくる甘えに他ならない、となかなか手厳しい。
一方で、気概を持つのは大事だし、ごく普通の人生や生活を軽蔑出来るのも若者の特権だと、若者を勇気づける。
しかし、これだけは理解しておけ、という調子で(ここは当たっていて面白いと思うのだが)先生という種族は、若者がこれから出会っていく大人の中で、最も手強くない大人である。
よって、先生をバカに出来るのは、自分はもっと手強い相手と戦っていかねばならないという覚悟のある人間である。
逆に「内心」ではなく、やたらに行動に表して、先生をバカにするような輩も(理解されないからと拗ねるのと同様)弱い甘えん坊である、と切り捨てる。
この項目だけ読んでみても、流石の洞察力である。また、どんどん読み進めたくなるし、読んでいて痛快である。
まっ、こんな感じで、ユーモアを交えながらも、社会で生き抜いていく自覚を与えてくれるお勧めの一冊であります。