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ぴょろりずむ ~本から学ぶ~

読んだ本、読みたい本、読むべき本を紹介していきます。

不透明な時代だからこそ先を見通す力を養いたい! 「自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議」(出口治明・島澤諭 著)

出口治明氏の著書を読むといつもこの先の人生や仕事を「下支えする力」を養っていくことの重要性を感じさせられる。

 

本書が読者に伝えたいメッセージは、日本の将来を担っていく子や孫の世代のために、我々ひとりひとりが先を見通す力を養っていこう、また、様々な問題を他人事ではなく自分事と考えて、自分の影響を及ぼせる範囲から少しずつ変えていこうということではないだろうか。

 

「これからの日本が適切な道を選択し、歩んでいくにはどうすればいいのか」という大きなテーマを議論するにあたって、「あなたならどうするか」「個人はどう動いていくべきか」という自分事に引き寄せて考えていきたいと思っています。こうした混迷の時代でも、自分の半径5mの世界から変えていくことが、結局は早く世界を変えることにつながると思うのです。

 

出口氏は、「何事にあたってもまずは『数字』にあたり、『ファクト』を基に『ロジック』を組み立てることが大切」と強調している。一方、残念ながら日本人は長年それをしてこなかった。なぜか?それは、「1940年体制」と呼ばれる戦後の枠組みのせいである。1940年体制とは、終身雇用や年功序列など、日本型経営の原型が形成され始めた時期でもあり、この体制は戦後も受け継がれ、高度経済成長の日本社会に見事に適合した。こうして日本は冷戦構造下アメリカをキャッチアップモデルとして人口増加を追い風に高度成長を遂げた。

しかし、現在はその状況は全て変わり、日本は「課題(少子高齢化財政再建等)先進国」となっている。人口増、経済成長等の前提条件が大きく変化した今、まさに我々は「どんな国をつくるのか」というのをもう一度ゼロベースで考えなければならない。しかも、自ら考えていくしかない。だから、前述の「数字・ファクト・ロジック」がますます大切になってくる。それでも結論が出ない場合には「直観」で勝負することになるが、それは当てずっぽうとは全く異なる、脳が無意識の部分をフル回転させて編み出した答えなので、これまで蓄積してきた知識と経験が物を言うことになる。そういった意味で、やはりインプットの絶対量を増やすことも大事で、出口氏は「人・本・旅」が最良の手段だと言っている。

 

本書の中盤以降は、ガラパゴス的に進化した日本の人事システムや生産性向上の阻害要因ともなっている「残業」や「根拠なき精神論」を否定しながら、今後日本が生産性を高めていくためにはどうすればよいのか、という展開となっていく。例えば、エイジフリーで働ける社会(定年制の廃止等)は労働の流動化を生み出し、ダイバーシティは組織を活性化させる。また、日本の再生を握るのは「教育」であるとし、教育への予算が不足していること、学生がもっと勉強する仕組みやインセンティブの必要性等を指摘している。

 

ところで、就職活動で「コミュニケーション能力」と「人間力」といったものを企業の採用担当者が重視する風潮はますます強まっているようだが、出口氏はそれをまったくナンセンスだと否定している。たかだか数回の面接で、その人のコミュニケーション能力や人間力がわかるとは思えない。大学生は勉強が一番大事なので、成績を重視した採用を行うべきだとしている。このあたりは多少極端な印象を受けるかもしれないが、個人的にはとても良く分かる気がする。本当に優秀な学生は、自分が選んだ分野で実績を残していることが多いし、そういう学生こそがポテンシャルの高い人材なのではないだろうか。

 

「人口問題」については、日本が抱える種々の問題の根源になっており、これを解決しない限り、国内のマーケットは縮小が続き、税制や社会保障制度の見直しも余儀なくされる。フランスの出生率を向上させたシラク三原則」が紹介されており、政策の必要性とともに、働き方の改革、移民受け入れ問題、世代間格差等にも言及している。

 

 

日本を再生するリーダー像に関しては、ポピュリズムなどに惑わされずに、毅然とした姿勢で社会を動かしてほしい。」と述べている。

 

 

また、リーダーについては以下のように整理している。

 

【リーダーの本質的な役割】

明確なビジョンを持ち、そのビジョンを自分の言葉で周囲に伝えて共感を得ること。

 

【リーダーに必要な3要素】

1.何がやりたいのかが明確である。

2.目的を遂行するために必要な仲間を集めることができる。

3.目的達成に向けてチームをまとめ、困難な時でもみんなを引っ張っていく力がある。

 

最後に・・・

半径5mから世界を変えていくには、この世界をどう理解し、どこを変えたいと思い、今のポジションで自分に何が出来るかを考え、行動することが何よりも大切です。それが人間の生きる意味であり、仕事をする理由でもあるからです。

  

自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議 (SB新書)

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